マンチェスターテロでは出番のなかったライドシェア
横浜シンポジウムでは、国際運輸労連(ITF)本部内陸運輸部長の浦田誠さんのお話の中で、2017年5月の英国・マンチェスターのコンサート会場で起きた無差別自爆テロ事件の際のお話が印象に残りました。
ウーバーは災害時に便乗値上げをする会社ですが、テロが起きた際にも同じことをしてきました。しかし、マンチェスターでは全く出番がなかったそうです。
なぜなら、「地元のタクシー運転手たちが、無料で避難する人たちを自宅まで送り届けたからです。隣町やその先までも不眠不休で行ったそうです。」
「同時に、まちのホテルは空室を無料で開放しました。一般家庭も、ツイッターなどにメッセージを出し、「うちに寄って休憩していきなさい」と帰宅困難者に呼びかけたそうです。こうなると、民泊もライドシェアも、不要です。便乗値上げもできません。」
「マンチェスターは伝統的に労働運動がしっかりしているところで、組織率も全国平均やロンドン平均を上回っています。私も労働組合の関係者ですから、身内びいきはよくないのですが、働く仲間の「連帯=ソリダリティ」の実践って、こんなものなんだなとその時感じました。」
「私たちの今の社会と言うのは、目先の便利さや快適さというものが日々拡大再生産されている、その中で自分さえ良ければ、あるいは自分たちさえ良ければいいという個人主義がどんどん強まっている。本当にそれでいいのか。」
「ライドシェア問題に取り組む中で、そういうことも敢えて考えてみる、そんなことが必要なのではないかと思っています。」
私たちはどのような社会を望むのか、そのことが問われているのかもしれません。