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孫正義さん、まちがってるよ!


私たち市民会議は公共交通、とくにタクシーが市民にとって、より安全で便利になることを願って2016年8月から活動をしてきました。

近年、一般ドライバーと、安く目的地に移動したい利用者を、スマホのアプリでマッチングして、有料で運ぶ事業を行うウーバーやリフト、滴滴(ディディ)出(チュー)行(シン)などのビジネスモデルが、世界各国で急拡大しています。これらはライドシェアとかギグエコノミーと呼ばれています。

ライドシェア事業者は、有料で乗客を運ぶというタクシーと同種の事業を行うにもかかわらず、自分たちは旅客運送事業者ではなくテクノロジー企業であると主張して、タクシーが守っている法令で定められた安全管理ルールを一切守ろうとしません。もっとも、このような主張は2017年12月20日にEU司法裁判所が下したウーバーは旅客運送企業であるとの判決によって明確に退けられました。ライドシェア事業者は安全管理ルールを守らず、タクシーとの間に不公正競争を引き起こすため、タクシーの安全な運送業務を崩壊させ、危険で過酷なタクシーに変えてしまう問題を抱えていることが分かり、日本だけでなく欧州各国や韓国、台湾などでも禁止されています。そして、アメリカなどを含む世界各国でタクシー運転手を中心とした人々の猛反発をもたらしています。

そんな状況下、今年7月19日の東京都内の法人向けイベントで孫正義さんが、こう言ったと報道されました。

「(ライドシェアサービスで)需要を予測してより交通の混雑が減り、より事故が減り、より需要と供給をマッチできるということがいま米国や中国・欧州などいろいろな国で起きている。」これを許さない日本は「国が未来の進化を自分で止めている」「こんなばかな国が未だにあるということが僕には信じられない。」

本当にこんなこと言ったとしたら、孫さんはギグエコノミーの実態を知らないで、ライドシェア事業を展開してきたウーバーや滴滴(ディディ)出(チュー)行(シン)などに7兆円もの株式投資などをしてしまったことになります。孫さん、損しちゃうよ!

ニューヨークでは、ウーバーなどによるライドシェアサービス車が急増したために、タクシー運転手の売上が激減し、生活苦に陥ったドライバーが6人も自殺しました。

また、ライドシェアに登録したドライバーが、今やタクシードライバーの数倍に急増して、ひどい交通渋滞をもたらしています。このことは、2017年12月26日のニューヨークタイムズも大きく報道しています。

タクシーの信頼性・利便性が十分でなかった米・中・印などでライドシェアが拡大するのは分からないでもありません。でも、交通の安全と労働を守る重要性が分かっている欧州各国や日本、韓国、台湾などでは、タクシーの今の信頼を守るためにもウーバーなどの「無免許タクシー事業」を禁止しているのです。ライドシェア事業者が一旦参入したものの、その安全性やドライバー酷使が問題となって撤退してしまった国も多数あります。

孫さんは、ウーバーなどのサービスが米、中、印などでなぜ急拡大したのか、それが今どうなっているのか、「日本はばかな国」などと決めつける前に、事実を正確に知るべきです。ライドシェアサービスによる無免許タクシーが一旦日本で認められたら、世界一と評価されている日本のタクシー事業の安全性・信頼性が損なわれて、関越道や軽井沢で起こった重大なバス事故に見られる事態をもたらすことは必定です。孫さんはそうなったあとどう責任をとるのでしょうか。

情報通信技術の発達により、利用者の利便性が促進されることは歓迎すべきことです。しかし、便利になる一方で、安全管理がないがしろにされ、労働力のつまみ食いがまかり通って利用者の安全が損なわれるのは困ります。利便性の向上は、安全性を損なわない条件のもとで行われるべきです。法令で定められた安全管理ルールを守ろうとしないライドシェアは認められるべきではありません。

今回の発言が本当だとしたら孫さんはまちがってるよ!

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