ライドシェアをめぐる最近の海外事情
2023年1月
【10】ストックホルムでライドシェア運転手を組織するタクシー労組が車両60台でストを打ち、ウーバーとボルトに労働条件の向上を求めた【16】米シカゴ市議会は、不当なアカウント停止(解雇)にライドシェア運転手が異議申し立てを行なう権利を与えたり、解雇理由を運転手に通知することを会社に義務付ける法案の審理を開始した【20】仏リヨンの労働裁判所は、ウーバーが原告運転手139人を従業員として扱ってこなかったとし、損害賠償や未払金で計1700万ユーロを支払うよう命じた。ウーバーは上訴【23】フランスでウーバーとボルト運転手に一回の乗車で最低報酬7.65ユーロを支払うことが決まったが、待機時間は含まれておらず、「無いよりマシ程度」と冷ややかな評価。待機時間は運転手の労働時間の5割を占める【23】タクシーとハイヤーの区分けを明確化する法律を施行したスペインのカタロニア州がレッカー車を使い違反を取り締まり。ハイヤーはリムジンと大型バンに限定され、普通車を使うウーバーなどのサービスは違法となる【26】チリの上院で「ウーバー法」が可決された。運転手、乗客、車両に保険を掛けることを同社や同業他社に求める内容。ウーバーなどは強く反発【30】7年を経てナイジェリアでウーバーとボルト運転手を組織する労働組合が政府から公認された【30】ライドシェアやフードデリバリー会社に情報開示を求める法案がコロラド州の上院議会に提出された。配車ごとに運転手と会社がそれぞれいくら取るかなどを開示しなければならない。運転手のアカウント停止(解雇)については審査基準を作成して異議申し立てを受け付ける【30】NYアダムス市長は、2030年までにウーバー、リフト車両を100%電動化せよと言うが、果たして両社はその費用を出すのか。運転手の負担にならぬようタクシー労組NYTWAが警戒している【30】カナダでウーバーがUFCW労組と協定を結んでアカウント停止の苦情を受け付けて1年が経過。これまで794件中201件が解決したが、ウーバーがUFCWに業務を外注化しているケースもあり。
2月
【9】米マサチューセッツ州議会では、ライドシェア運転手を無条件で個人事業主と定める法案が審理されているが、チームスターズ労組は議員にこれに反対するよう訴えた。「巨大企業の搾取を正当化し、労働者同士を過当競争に追い込むもの」【10】リフトの株価は直近の四半期の業績が予想を大きく下回ったことで暴落。複数のアナリストは、長年の宿敵であるウーバーとの闘いに決着がついたと宣言【13】米ピッツバーグでライドシェア運転手100人が、10日午後3時から12日までストを打ち、処遇改善を訴えた。ウーバーとリフトが手数料を引き上げている上、運転手が被害者となる殺人事件が続いているため【22】印デリー市は個人バイクによる乗客の有償輸送は違法という通達を発した。ウーバー、オラなどが事業を展開している。違反者には罰金が課せられ、繰り返せば3カ月の免停となる【26】NYのライドシェア運転手数百人がラグアディア空港で12時間ストを打って会社の一方的なアカウント停止に抗議。NYTWA労組は、新条例をつくって理由なきアカ停をやめさせたい。
3月
【2】ウーバーがロンドンでダイナミックプライシングを導入。これまでは基本運賃を走行時間と距離で設定し、需要が高まれば運賃を引き上げる「サージ」だったが、これからは長年蓄積したデータに基づき、その都度運賃を設定する。当該労組は運転手や乗客の個人データが無断で使われることを問題視【3】デンマークの保守系議員が、過疎地でウーバーをタクシー代わりに使えばよいと発言。タクシー事業者らは「その場しのぎ」と反発。すでに独ベルリンとミュンヘンの郊外で実証実験を行なったが成功しなかったと主張している【8】NY市タクシー・リムジン委員会は、ライドシェア運転手の賃金を昨年1月時点と比べ、約2.26ドル引き上げる。先月の6.4%アップと今回分を合わせると8.8%の引き上げとなる【9】Apt Ridesというローカルなライドシェアがもうすぐバンクーバーで始まる。収益をすべて地元に還元するので運賃はウーバーやリフトよりも安く、運転手の報酬も高くなる。運賃の上下もガイドラインを設ける【10】サンパウロ市がライドシェアアプリMobizap SPを導入。運賃変動は採用しない。市が手数料10.95%とる以外は全て運転手の収入となる。1万人の運転手が登録すれば実働開始となる【10】コロラド州で運賃、運転手報酬やアカウント停止の手順をライドシェア社が公開することを求める法案が審理中だ。失職した運転手には不服審査を認める。ウーバーは反対【21】WILLERの在シンガポール子会社は、マレーシアの大手交通事業者と提携し、AIオンデマンド交通サービスmobiを、クアラルンプール首都圏でサービス開始【23】韓カカオモビリティが英スプリットを買収。スプリットは、乗車呼び出しや食料品配達などのサービスを提供する世界の主要アプリ同士間でデータのやり取りができるようにするプラットフォーム。ウーバー、グラブ、カリーム、キャビファイなどが顧客【30】リフトのCEOが交代。共同創業者ローガン・グリーンの後任はデービッド・リッシャー。ウーバーとの競争に苦戦する中、身売りの可能性に備える。
4月
【4】オランダ控訴審は、ウーバー、オラに対し、アルゴリズムを介した解職などは運転手の権利を侵害していると判決。企業秘密をタテに運転手のデータアクセスを拒否できないとも命じた【12】UAEのイーアンド(e&)がカリームが開発したスーパーアプリ部門の過半数株を4億ドルで取得【14】米フロリダ州タンパで、ウーバー運転手200人が有名歌手のコンサートに合わせてストライキを打った。9年働いてきたある運転手は、「かつて80-90ドルだった賃走が今では19-38ドルだ」と強い不満を表明した【22】リフトが新たなレイオフで少なくとも社員1200人を削減へ。全従業員の30%強になる可能性も。昨年すでに700人減【25】露インターネット大手ヤンデックスが、ウーバーと設立した合弁事業ヤンデックス・タクシーのウーバー保有株を約7億ドルで取得。単独オーナーとなり、ウーバーはロシア市場から撤退。
5月
【1】カリフォルニア州の労働団体などの調査によれば、2022年だけで31人のアプリ労働者が米国で勤務中に殺害されている。その77%は有色人種。【1】滴滴出行の22年12月期の売上高は前年同期比19%減。「ゼロコロナ」政策で中国の国内移動が厳しく制限されたため。一方、南米などの事業は食品の宅配サービスを中心に売上高62%増【2】ウーバーが発表した2023年1〜3月期決算は売上高が前年同期比29%増だった一方、最終損益は1億5700万ドルの赤字【4】ウーバー株主総会の4日前、本社のあるサンフランシスコやNYなど全米6市でウーバー運転手らが、低賃金、危険な労働環境、不公平な解雇などに抗議した【20】米イリノイ州議会では、ウーバー・リフトの運転手が乗客に危害を加えた場合、会社にも責任を問う法案が審理中だ。公共交通機関に適用されているが、ライドシェア運転手は個人事業主だとしてこれまで除外されてきた。両社は法案に強く反発している【25】米ミネソタ州知事がライドシェア規制強化法案に拒否権を発動して否決。コスト増を理由にウーバー、リフトが反対していた【30】欧州でウーバーに登録するタクシー運転手が増えている。ウーバーが商業ライセンスを持つハイヤー運転手を使うようになったため、緊張関係が和らいでいる【31】コロナ禍と経済危機に直撃されたアルゼンチンでは、ブエノスアイレスのタクシー運転手が半減。このためウーバーでタクシーを呼ぶ客に頼る運転手が増えている。仕方ないと思うものとタクシーの崩壊に手を貸すことだと感じるものがいる。
6月
【6】トルコ最高裁が「不公平競争のウーバーは禁止されるべき」という下級審の判決を支持。タクシー運転手協会などが訴えていた。ウーバーはすでにライドシェアを3年前にやめて、タクシーと協業中【8】不当なアカウント停止からライドシェア運転手を守る法案がニューヨーク市議会で提出された。解雇理由や事前通知なしでアカウント停止(解雇)にすることを禁止し、解雇は2週間前に運転手へ通知することを義務付ける内容。仲裁のガイドラインも設ける。過去6年間に解雇されたものには、停止解除を訴える機会を与える。【12】デリー市がウーバーやオラの違法バイクタクシーの没収を開始する。インド最高裁判所が市当局による禁止措置を支持したため【15】ブラジルで、アプリ労働者の組合がソーシャルメディアを通じて、ウーバーや滴滴傘下の99で働く運転手に24時間ストを呼びかけた。最低賃金の設定と6割にも及ぶ手数料に引き下げを求めている【16】ウーバーイーツがイタリアから、ウーバーがイスラエルからそれぞれ撤退する。イタリアではJust EatとGlovoに、イスラエルではGett TaxiとYangoに競り負けていた【17】ニュージーランドでは昨年、「ウーバー運転手は個人事業主ではなく従業員」と雇用裁判所が判断したが、最近になって同社は抗告することが認められた。原告は4人のウーバー運転手を代表する2労組【17】印ハイドラバードのTGPWU労組はライドシェア運転手を組織しているが、あまりにも運賃が低いため、空港で客を拾うことを一週間近く拒否。あわせていかにオラ、ウーバーの手数料が高いかを世論に訴えた【20】英ウーバー裁判で勝利を勝ち取った原告のジェームス・ファラー氏に対し、雇用裁判所は、ウーバーが同氏に年次有給休暇の未払いと最低賃金の不払いで計22,960.55ポンドを支払う義務があると認定した。ウーバーは機密保持契約に署名すれば6桁の法廷外和解金を出すとしていたが、ファラー氏はこれを拒否し、裁判所の判断を求めていた【22】メキシコ・カンクンでは、州の裁判所がウーバーは公共交通のライセンスなしで営業できると判決して以来、不公平競争を不満とするタクシー運転手などがウーバー運転手を襲撃する事件が50回起きている。
7月
【7】ウーバージャパンの第11期(2022年1月〜12月)の決算公告が官報に掲載された。当期純損失は8,145万円。第9期は2,214万円の純損失を計上、第10期は4,208万円の純利益を計上。第6〜8期は黒字であった【9】カリフォルニア州公益事業委員会は、サンフランシスコ市内で無人の自動運転車配車サービスを展開するウェイモとクルーズに対して、サービス拡大(週7日、1日24時間の商用運行をSF全域)を許可するか。採決を13日まで延期する(その後、さらに一ヵ月延期)【26】米ミネアポリス市でライドシェア運転手に最低賃金を保障する条例が審理中だ。2014年から報酬は半減しており、運転手は不満だ。1300人がウーバー・リフト運転手組合を結成している。
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